第28章 動的DNSの設定
ネットワーク > 動的DNS
動的DNS (DDNS) は、IPアドレスを動的に変更する際、DNSレコードを人の手を介さず自動的に更新できるようにするサービスで、様々な会社や組織によって提供されています。このサービスは、対象のIPアドレスが変更された場合にも、IPアドレスではなくドメイン名を使用することによって、ネットワーク アクセスを可能にします。たとえば、ユーザがIPアドレスをISPから動的に割り当てられるDSL接続を使用している場合、DDNSを使用してIPアドレスをDDNSサーバに登録し、またその後のアドレス変更もすべて登録することによって、外部のホストは同じドメイン名を使いながら変更後のアドレスにアクセスを継続することができます。
動的DNSの実装は、サービス プロバイダごとに内容が異なります。通信方式や登録できるレコードの種類、提供可能なサービスの種類に、厳密な標準はありません。また、プレミアム バージョンのサービスを有償で提供するプロバイダもあります。このため、特定のDDNSプロバイダをサポートするには、そのプロバイダ固有の実装との明示的な相互運用性が必要です。
プロバイダのほとんどは、IPアドレスの変更が発生した場合のみDDNSレコードを更新するほうが望ましいと考えています。頻繁な更新は、特に登録IPアドレスが変更されていない場合、プロバイダによってサービスの誤用と判断され、その結果DDNSアカウントがロック アウトされる場合があります。プロバイダのページに掲載されている使用方針を確認し、その方針に準拠してください。SonicWALLではDDNSプロバイダに関するテクニカル サポートは行いませんので、お問い合わせはプロバイダの方にお願いします。
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サポートしている動的DNSプロバイダ
すべてのプロバイダのすべてのサービスや機能をサポートしてはいません。また、サポートしているプロバイダのリストは、予告なく変更されることがあります。SonicOSは、現在、次の4つの動的DNSプロバイダのサービスをサポートしています。
・ DynDNS.org - SonicOSでDynDNS.orgのDDNSを設定するには、ユーザ名、パスワード、メール エクスチェンジャー、バックアップMXが必要です。
・ Changeip.com - 単一の古くからある動的DNSサービスです。SonicOSの設定に必要なのは、ユーザ名、パスワード、ドメイン名のみです。
・ No-ip.com - SonicOSの設定に、ユーザ名、パスワード、ドメイン名のみを必要とする動的DNSサービスです。ホスト名のグループ化もサポートしています。
・ Yi.org - SonicOSの設定に、ユーザ名、パスワード、ドメイン名のみを必要とする動的DNSサービスです。動的更新を正しく行うには、yi.org管理ページ上でRRレコードを作成する必要があります。動的DNSプロバイダによる追加サービス
動的DNSプロバイダによって提供される共通の追加サービスには次のようなものがあります。
・ ワイルドカード - サブドメインのワイルドカード参照を可能にします。たとえば、yourdomain.dyndns.orgを登録すると、*.yourdomain.dyndns.orgで、server.yourdomain.dyndns.org、www.yourdomain.dyndns.org、ftp.yourdomain.dyndns.orgなどのサイトにアクセスできます。
・ メール エクスチェンジャー - SMTPサーバがDNSによってアドレスを検索してメールを送信できるように、ドメインのMXレコード エントリを作成します。注: 受信SMTPが、ISPにより遮断されている場合がありますので、メール サーバをホストしようとする前にプロバイダへお問い合わせください。
・ バックアップMX (dydns.org、yi.org提供) - プライマリIPアドレスが停止中のときのために、MXレコード用のバックアップIPアドレスを指定できます。
・ グループ - ホストをグループ化することによって、更新を個々のメンバーに対して複数回行うのではなく、グループ レベルで一度に実行できます。
・ オフラインIPアドレス - 登録されたプライマリIPアドレスがオフラインのときのために、登録ホスト名用のバックアップ アドレスを指定できます。動的DNSの設定
動的DNSサービスの使用は、利用するDDNSサービス プロバイダを選び、アカウントを設定することから始めます。同時に複数のプロバイダを利用することも可能です。上に挙げた各種プロバイダのリンクを参照してください。通常の登録手続きでは、プロバイダから確認の電子メールを受け取り、そのメールに埋め込まれている固有のURLへのアクセスを実行して最終確認を行います。選択したプロバイダのページにログインした後、管理用のリンク (一般に、「追加」や「管理」) を選択し、ホスト エントリを作成します。この作業は、SonicOS上で動的DNSクライアントを使用する前に行う必要があります。「ネットワーク > 動的DNS」ページに、DDNSサービスを使用するようにSonicWALLセキュリティ装置を設定するための項目があります。
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SonicWALLセキュリティ装置で動的DNSを設定するには、以下の手順を実行します。
手順 1 「ネットワーク > 動的DNS」ページで、「追加」ボタンを選択します。「動的DNSプロファイルの追加」ウィンドウが表示されます。
手順 2 「この動的DNSプロファイルを有効にする」チェックボックスがオンの場合は、このプロファイルは管理上有効になり、SonicWALLセキュリティ装置によって、「詳細」タブの「オンライン設定」セクションで定義されている動作が実行されます。手順 3 「オンライン設定を使用する」チェックボックスがオンの場合は、このプロファイルの管理はオンラインになります。手順 4 「プロファイル名」フィールドに、DDNSエントリに割り当てる名前を入力します。これには、「動的DNS設定」テーブルでエントリを識別するのに使用する任意の名前を指定できます。手順 5 「プロファイル」ページで、ページの先頭にあるドロップダウン リストからプロバイダを選択します。DnyDNS.orgとchageip.comはHTTPSを使用し、yi.orgとno-ip.comはHTTPを使用します。この例では、DynDNS.orgを使用します。DynDNS.orgでは利用するサービスの選択が必要です。この例では、DynDNS.orgで動的サービス・レコードを作成したものと想定します。手順 6 「ユーザ名」フィールドと「パスワード」フィールドに、DynDNS.orgでのユーザ名とパスワードを入力します。手順 7 DynDNS.orgに登録したホスト名の完全修飾ドメイン名 (FQDN) を入力します。ホスト名とドメインが、設定したものと同じであることを確認します。手順 8 オプションで、「関連付け先」 プルダウンから、WANインターフェースを選択して、このDDNSプロファイルに特定のWANインターフェースを割り当てるます。 これにより、複数WAN負荷分散を設定している管理者が、予定したIPアドレスをDDNSサービスに通知できます。 既定では、これは 「ANY」 に設定されていて、プロファイルがこの装置上でどのWANインターフェースでも自由に使用できることを意味します。手順 9 DynDNS.orgを使用する際には、DynDNS.orgで選択したサービスの種類に対応する「サービス種別」をドロップダウン リストから選択します。このオプションには次のものがあります。
・ 動的 - 無料の動的DNSサービスです。
・ 個別 - 管理されたプライマリDNSソリューションで、プライマリおよびバックアップの統合DNSサービスと、ウェブベースのインターフェースを提供します。動的、静的双方のIPアドレスをサポートしています。
・ 静的 - 静的IPアドレスを使用する無料のDNSサービスです。手順 10 DynDNS.orgを使用する場合は、任意で、「ワイルドカードを有効にする」を選択したり、「メール エクスチェンジャー」フィールドにMXエントリを設定することもできます。これがバックアップのメール エクスチェンジャーである場合は、「バックアップMX」チェックボックスをオンにします。手順 11 「詳細設定」タブを選択します。通常は、このページの既定の設定をそのまま使用できます。
手順 12 「オンライン設定」セクションでは、動的DNSプロバイダにどのアドレスを登録するかを指定します。以下のオプションがあります。
・ DDNSプロバイダにIPアドレスを検出させる - 接続の送信元アドレスに基づいて、動的DNSプロバイダがIPアドレスを判別します。この設定は最も一般的です。
・ 自動的にIPアドレスをプライマリWAN IPアドレスに設定する - この設定では、SonicWALL機器によってWAN IPアドレスが登録IPアドレスとして割り付けられ、動的DNSサーバによる自動検出に優先して使用されます。自動検出が適切に動作しない場合に役に立つ設定です。
・ IPアドレスを手動で指定する - 登録するIPアドレスを手動で指定および割り付けできます。手順 13 「オフライン設定」セクションでは、SonicWALLで動的DNSエントリがローカルにオフラインになっている (無効になっている) 場合に、動的DNSサービス プロバイダにどのIPアドレスを登録するかを指定します。以下のオプションがあります。
・ 何も行わない - 既定の設定です。前に登録したアドレスが、動的DNSプロバイダでの現在のアドレスになります。
・ プロバイダ サイトで事前に設定したオフラインIPアドレスを使用する - プロバイダでオフライン設定の手動設定をサポートしている場合は、このオプションを選択して、このプロファイルの管理がオフラインのときにこれらの設定を使用できます。手順 14 「OK」を選択します。動的DNS設定テーブル
「動的DNS設定」テーブルには、設定されたDDNSプロファイルが表形式で表示されます。
「動的DNS設定」テーブルには以下の列があります。
・ プロファイル名 - 動的DNSエントリを作成したときに割り当てた名前です。任意の値が可能で、識別のためにのみ使用されます。
・ ドメイン - 動的DNSエントリの完全修飾ドメイン名 (FQDN) です。
・ プロバイダ - このエントリが登録されている動的DNSプロバイダです。
・ 状況 - 最後にレポートされた時点または現在の動的DNSエントリの状況です。以下の状況があります。
・ オンライン - 動的DNSエントリは、管理上オンラインです。このエントリの現在のIP設定が、タイム スタンプとともに表示されます。
・ オフライン中 - 動的DNSエントリは、管理上オフラインです。エントリが有効な場合、「詳細設定」タブの「オフライン設定」セクションで設定された動作を実行します。
・ 誤用 - 動的DNSプロバイダが、頻繁な更新を誤用であると見なしました。どのような場合に誤用とされるかを、動的DNSプロバイダのガイドラインで確認してください。
・ IP変更なし - 誤用の可能性 - IPアドレスを変更しない強制的な更新を行った場合、誤用であると見なす動的DNSプロバイダがあります。自動更新は、アドレスや状況が変化した場合にのみ発生します。手動の更新や強制更新は、登録情報が間違っているなど、明確に必要な場合にのみ行われます。
・ 無効 - 設定エラーまたはポリシー違反のため、アカウントを無効にされました。プロファイルの設定と、プロバイダの動的DNSアカウント状況を確認してください。
・ 無効なアカウント - 提供されたアカウント情報が有効ではありません。プロファイルの設定と、プロバイダの動的DNSアカウント状況を確認してください。
・ ネットワーク エラー - 動的DNSプロバイダと通信できません。ネットワーク エラーの疑いがあります。プロバイダがアクセス可能であり、オンラインになっていることを確認してください。時間を置いて再度実行してください。
・ プロバイダ エラー - 動的DNSプロバイダは、今回要求された動作を実行することができません。プロファイルの設定と、プロバイダの動的DNSアカウント状況を確認してください。時間を置いて再度実行してください。
・ 寄付者のアカウントではありません - プロバイダによって特定の機能 (オフライン アドレス設定など) が有料会員や寄付者にのみ利用可能な場合があります。どのサービスが有料または寄付が必要かの詳細は、プロバイダに確認してください。
・ 有効 - 選択すると、このプロファイルは管理上有効になり、SonicWALLは「詳細設定」タブで設定した「オンライン設定」の動作を行います。この設定は、エントリの「プロファイル」タブで「この動的DNSプロファイルを有効にする」チェックボックスを使用して制御することもできます。チェックボックスを非選択にするとプロファイルは無効になり、再度有効になるまで、このプロファイルのための動的DNSプロバイダとの通信は発生しません。
・ オンライン - 選択すると、このプロファイルは管理上オンラインになります。この設定は、エントリの「プロファイル」タブで「オンライン設定を使用する」チェックボックスを使用して制御することもできます。プロファイルが有効な間にチェックボックスを非選択にした場合、プロファイルはオフラインになり、SonicWALLは「詳細設定」タブで設定された「オフライン設定」の動作を行います。
・ 設定 - 動的DNSプロファイルを設定するための編集アイコンと、動的DNSプロファイルエントリを削除するための削除アイコン
があります。