第23章 ARPトラフィックの管理


ネットワーク > ARP

ARP (Address Resolution Protocol) は、第3層 (IPアドレス) を第2層 (物理アドレスまたはMACアドレス) に割り付け、同じサブネットに存在するホスト間の通信を可能にします。ARPは、ネットワークのトラフィックを増大させるブロードキャスト プロトコルです。ブロードキャスト トラフィックを最小限にするため、ARPキャッシュが保持されて、以前に取得されたARP情報が保管および再使用されます。

静的ARPエントリ

静的ARP機能により、第2層のMACアドレスと第3層のIPアドレス間で静的な割付が可能になるだけでなく、以下の機能も使用できます。


・ この登録を公開する - 「静的ARPの追加」ウィンドウの「この登録を公開する」オプションを有効にすると、SonicWALL機器が、指定したMACアドレスで、指定したIPアドレスに対するARPの問い合わせに応答するようになります。例えば、SonicWALLのMACアドレスを追加して、SonicWALL機器で特定のインターフェースのバックアップのIPアドレスに応答できるようになります。次の「静的ARPによるセカンダリ サブネットの設定」セクションを参照してください。

・ MACアドレスをバインドする - 「静的ARPの追加」ウィンドウの「MACアドレスをバインドする」オプションを有効にすると、指定されたMACアドレスを目的のIPアドレスおよびインターフェースにバインドできます。これにより、(ネットワーク カードの一意のMACアドレスで認識される) 特定のワークステーションを、SonicWALL上の指定のインターフェースでのみ使用できるようになります。MACアドレスが1つのインターフェースにバインドされたら、SonicWALLは他のインターフェースのMACアドレスに応答しなくなります。また、存在の可能性があるMACアドレスに動的にキャッシュされた参照をすべて削除し、そのMACアドレスへの追加的な (一意でない) 静的割付を禁止します。

・ IPアドレスを動的に更新する - 「静的ARPの追加」ウィンドウの「IPアドレスを動的に更新する」設定は、「MACアドレスをバインドする」オプションのサブ機能です。これにより、DHCPを動的なIPアドレス割付に使用するとき、MACアドレスをインターフェースにバインドさせることができます。このオプションを有効にすると、「IPアドレス」フィールドが淡色表示になり、SonicWALLの内部DHCPサーバによる割付されたIPアドレス (IPヘルパーを使用中の場合は外部DHCPサーバにより割付されたIPアドレス) がARPキャッシュに格納されます。

静的ARPによるセカンダリ サブネットの設定

静的ARP機能により、自動NATルールを追加せずに、セカンダリ サブネットを別のインターフェースに追加できます。

静的ARPの使用によるセカンダリ サブネットの追加

手順 1  セカンダリのサブネットに使用するゲートウェイ アドレスの静的ARPを、“公開する”オプションを有効に設定して追加し、そのARPに、接続するSonicWALLインターフェースのMACアドレスを割り当てます。
手順 2  セカンダリのサブネットへの静的ルートを追加します。これにより、SonicWALLがそれを有効なトラフィックと見なすようになり、そのサブネットのトラフィックをどのインターフェースにルーティングすべきかが認識されます。
手順 3  アクセス ルールを追加して、サブネットへのトラフィックが正しいネットワーク インターフェースを通過できるようにします。
手順 4  必要に応じて、 アップストリームの機器に静的ルートを追加し、どのゲートウェイIPを使用すればセカンダリのサブネットに到達可能かを識別できるようにします。

以下のネットワークの例を検討してください。

上記の設定をサポートするには、まずセカンダリ サブネットのゲートウェイとなるアドレス192.168.50.1の公開用の静的ARPエントリを作成してから、それをX3インターフェースに関連付けます。「ネットワーク > ARP」ページで、「静的ARP」セクションにある「追加」ボタンを選択して、次のエントリを追加します。

エントリは、次のようにテーブルに表示されます。

ネットワーク > ルーティング」ページを開き、255.255.255.0のサブネット マスクを指定して、192.168.50.0/24ネットワークへの静的ルートをX3インターフェース上に追加します。

トラフィックを192.168.50.0/24のサブネットに到達させ、192.168.50.0/24のサブネットからのトラフィックをLANのホストに到達させるため、「ファイアウォール > アクセス ルール」ページを開き、トラフィックを通過させるための適切なアクセス ルールを追加します。

ARPキャッシュ テーブルのナビゲートおよび並べ替え

ARPキャッシュ」テーブルでは、多数のARPエントリを簡単に閲覧できるようにページ付けがされています。「ARPキャッシュ」テーブルの右上にあるナビゲーション コントロール バーを使用して、「ARPキャッシュ」テーブルにリストされた多数のARPエントリを参照できます。

ナビゲーション コントロール バーには4つのボタンがあります。左端のボタンは、テーブルの最初のページを表示します。右端のボタンは、最後のページを表示します。内側の左矢印ボタンと右矢印で、それぞれ前または次のページに移動します。

表示範囲」フィールドにポリシー番号 (「#名前」列においてポリシー名の前に記載されている番号) を入力することにより、特定のARPエントリに移動できます。既定のテーブル設定では、ページあたり50個のエントリが表示されます。この既定のテーブル エントリ数は、「システム > 管理」ページで変更できます。

テーブルのエントリを並べ替えるには、列見出しを選択します。エントリは昇順または降順で並べ替えられます。列エントリの右側にある矢印が、並べ替え状況を示します。下向きの矢印は昇順を意味します。上向きの矢印は降順を示します。

ARPキャッシュ テーブルのエントリのナビゲートおよび並べ替え

ARPキャッシュ」テーブルでは、多数のARPエントリを簡単に閲覧できるようにページ付けがされています。「ARPキャッシュ」テーブルの右上にあるナビゲーション コントロール バーを使用して、「ARPキャッシュ」テーブルにリストされた多数のARPエントリを参照できます。ナビゲーション コントロール バーには4つのボタンがあります。左端のボタンは、テーブルの最初のページを表示します。右端のボタンは、最後のページを表示します。内側の左矢印ボタンと右矢印で、それぞれ前または次のページに移動します。

表示範囲」フィールドにポリシー番号 (「#名前」列においてポリシー名の前に記載されている番号) を入力することにより、特定のARPエントリに移動できます。既定のテーブル設定では、ページあたり50個のエントリが表示されます。この既定のテーブル エントリ数は、「システム > 管理」ページで変更できます。

テーブルのエントリを並べ替えるには、列見出しを選択します。エントリは昇順または降順で並べ替えられます。列エントリの右側にある矢印が、並べ替え状況を示します。下向きの矢印は昇順を意味します。上向きの矢印は降順を示します。

ARPキャッシュの消去

ネットワーク上の機器のIPアドレスが変更された場合は、ARPキャッシュを消去する必要があります。IPアドレスは物理アドレスにリンクされるので、変更されたIPアドレスはARPキャッシュ内で物理アドレスに関連付けられたままです。ARPキャッシュを消去すると、新しい情報が収集され、ARPキャッシュに保管されます。「ARPキャッシュの消去」を選択すると、情報が消去されます。

エントリがタイムアウトするまでの時間を設定するには、「ARPキャッシュ登録タイムアウト (分)」フィールドに時間を分単位で入力します。