第16章 フェイルオーバーと負荷分散の
セットアップ


ネットワーク > フェイルオーバーと負荷分散

この章は、次のセクションから構成されています。


・ 「フェイルオーバーと負荷分散」

・ 「負荷分散統計」

・ 「複数WAN (MWAN)」

フェイルオーバーと負荷分散

フェイルオーバーと負荷分散 (LB) のために、4つまでのWANメンバーがサポートされています。


・ プライマリWANイーサネット インターフェース

・ バックアップWAN #1

・ バックアップWAN #2

・ バックアップWAN #3

プライマリWANイーサネット インターフェース」は、以前のファームウェアの“プライマリWAN”という概念と同じものを意味します。 これは、LBグループの中で最も順位が高いWANインターフェースです。 「バックアップWAN #1」は、“バックアップWAN”に対応しています。 この順位はプライマリWANよりは下ですが、次の2つのバックアップWANより上です。 それ以外の「バックアップWAN #2」と「バックアップWAN #3」は新しく追加されたもので、バックアップWAN #3の順位はLBグループの4つのWANメンバーの中で最も下です。

フェイルオーバーと負荷分散の設定項目を以下で説明します。


・ WAN負荷分散を有効にする - ユーザがフェイルオーバーと負荷分散設定のLBグループとLB統計のセクションにアクセスするためには、このオプションを有効にする必要があります。 これが無効になっていると、フェイルオーバーと負荷分散に関するオプションを設定することはできません。

・ 論理監視に応答する - これを有効にすると、装置が自らのインターフェースのいずれかに着信したプローブ要求パケットに応答できます。

・ 次のポートへのすべてのTCP-SYN - 「論理監視に応答する」オプションが有効になっている場合、このオプションを使用できます。 このオプションを選択すると、装置は設定値と同じ送信先アドレスTCPポート番号を持つTCPプローブ要求パケットにのみ応答します。

負荷分散のメンバーとグループ

LBグループに追加されたLBメンバーは、ある一定の「役割」を果たします。 各メンバーは次に示す役割のうちの1つだけを果たします。


・ プライマリ - プライマリにできるメンバーはグループごとに1つだけです。 このメンバーはメンバー リストの先頭に表示されます。 グループを設定するときに空のメンバー リストを使用することはできますが、プライマリ メンバーは常に必要です。

・ バックアップ - 複数のメンバーをバックアップにできますが、バックアップ メンバーだけのグループは存在できません。

・ 最後の手段 - 最後の手段として指定できるメンバーは1つだけです。 最後の手段を設定するときは、グループの他のメンバーと共に設定する必要があります。

グループの各メンバーには順位があります。 メンバーは順位の高い順に表示されます。 順位は、インターフェースがグループのメンバー リストに表示される順序によって決定されます。 この順序は、インターフェースの使用優先度およびグループ内での優先度を決定するときに重要になります。 そのため、グループ内で2つのインターフェースが同じ順位を持つことはなく、インターフェースごとに異なる順位を持つことになります。

「一般」タブ

グループ メンバーの順位を設定するには、「ネットワークフェイルオーバーと負荷分散」ページで、設定したいグループの「設定」アイコンを選択します。 「一般」タブが表示されます。

「一般」タブでは、次の設定を変更できます。


・ 表示名 - グループの表示名を編集します。

・ LBのタイプ (方式) - ドロップダウン リストからLBのタイプ (アクティブ/スタンバイ フェイルオーバー、送信先別ラウンド ロビン、使用帯域によりバックアップ WANを使用する、使用する比率を指定する) を選択します。

・ アクティブ/スタンバイ フェイルオーバー - 「プライマリWANが復旧したときに自動的に接続をもとに戻す」チェックボックスが有効な場合、4つのWANインターフェースが‘順位’を使用して優先順序を決定します。 アクティブなWANインターフェースに優先することができるのは、より高い順位のインターフェースのみです。

・ 送信先別ラウンドロビン - ラウンド ロビン方式でWANインターフェースの順序を変更できるようになりました。 順序は、 プライマリWAN、バックアップWAN #1、バックアップWAN #2、バックアップWAN #3です。 その次はプライマリWANに戻って、この順序を繰り返します。

・ 使用帯域によりバックアップWANを使用する - 帯域幅のしきい値がプライマリWANに適用されます。 しきい値を超過すると、新しいトラフィック フローはラウンド ロビン方式でバックアップWANに割り当てられます。 プライマリWANの帯域幅が設定されたしきい値を下回ると、ラウンド ロビンは停止し、新しい送信フローは再びプライマリWANのみを介して送信されるようになります。 正常にタイムアウトするまで、既存のフローはバックアップWANに関連付けられたままであることに注意してください (既にキャッシュされているため)。

・ 使用する比率を指定する - LBグループのWANごとに比率を設定できるよう、フィールドが4つになりました。 設定エラーに関連する問題を回避するため、比率とWANインターフェースが正しく対応していることを確認してください。

・ メンバー インターフェースの追加/削除 - メンバーを追加するには、「グループ メンバー:」に表示されるインターフェースを選択し、 「追加>>」ボタンを選択します。 リストの先頭に表示されるインターフェースがプライマリです。 メンバーを削除するには、「選択済み:」 に表示されるインターフェースを選択し、「<<削除」ボタンを選択します。
補足 インターフェースの順位は、個々のメンバーに対して実行される処理を指定するものではありません。 実行される処理は、グループのタイプで指定されます。

「監視」タブ

論理監視が有効になっている場合、テスト パケットをリモート監視対象に送信して、WANパスの可用性を確認することができます。 追加されたWANインターフェース、 バックアップWAN #3およびバックアップWAN #4から監視を行える、新しいオプションが追加されています。

補足 バックアップWANのVLANは、QoSまたはVPN終了をサポートしていません。

特定のグループの論理監視オプションを設定するには、「ネットワークフェイルオーバーと負荷分散」ページで、設定したいグループの「設定」アイコンを選択します。 それから、「監視」タブを選択します。

「監視」タブでは、次の設定を変更できます。


・ インターフェースを監視する間隔 - 健全性チェックの間隔 (秒単位)。

・ インターフェースを停止するまでの未応答プローブ数 - 健全性チェックの一連の失敗の後、インターフェースは「フェイルオーバー」になります。

・ インターフェースを再開するまでの成功プローブ数 - 健全性チェックの一連の成功の後、インターフェースは「利用可能」になります。

・ このグループのすべてのインターフェースでresponder.global.sonicwall.comを監視する - グループ内のすべてのインターフェースで論理監視を自動的に設定するには、このチェックボックスを有効にします。 有効にすると、論理監視対象宛先アドレス204.212.170.23:50000を使用して、SNWL TCPパケットに応答するグローバルSNWLホストであるresponder.global.sonicwall.comにTCPプローブ パケットが送信されます。 このチェックボックスを選択すると、残りの論理監視設定でビルトイン設定が自動的に有効になります。 同じ論理監視が4つのWANイーサネット インターフェースすべてに適用されます。 ダイアルアップWAN論理監視の設定も、既定でビルトイン設定になることに注意してください。

負荷分散統計

負荷分散統計テーブルには、SonicWALLに関する次のLBグループ統計情報が表示されます。

・ 接続の総数

・ 新しい接続

・ 現在の比率

・ 平均比率

・ ユニキャストの総バイト数

・ 受信ユニキャスト

・ 受信バイト

・ 送信ユニキャスト

・ 送信バイト

・ スループット (KB/s)

・ スループット (Kビット/s)

統計情報の表示」プルダウン メニューで、統計情報を表示したいLBグループを選択します。

負荷分散統計テーブルから情報を消去するには、「ネットワーク > フェイルオーバーと負荷分散」ページの右下にある「統計のクリア」ボタンを選択します。

複数WAN (MWAN)

複数WAN (MWAN) 機能を使用すると、管理者は装置のインターフェースのうち、1つを除いたすべてをWANネットワーク ルーティングのために設定できます (1つのインターフェースは、ローカル管理のためにLANゾーンに設定してある必要があります)。 WANインターフェースはすべて、SNWLグローバル レスポンダ ホストを使用して論理監視することができます。

ネットワーク インターフェース

「ネットワーク インターフェース」ページで、3つ以上のWANインターフェースのルーティング設定を行うことができます。 「ネットワーク インターフェース」ページでWANインターフェースを設定することはできますが、「フェイルオーバーと負荷分散」にWANインターフェースを含めることはできません。 LBが有効になっている場合は常に、プライマリWANイーサネット インターフェースのみをLBグループに含める必要があります。 LBグループに属していないWANインターフェースはLB機能には含まれませんが、通常のWANルーティング機能を実行します。

補足 仮想WANインターフェースは、LBグループに属することができます。 ただし、LBグループ内で使用する前に、仮想WANネットワークが物理WANのように完全にルーティング可能であることを確認してください。

デフォルト ゲートウェイとセカンダリ デフォルト ゲートウェイのルーティング

プライマリWANとバックアップWANに以前関連付けられていたゲートウェイ アドレス オブジェクトは廃止される可能性があるため、WANインターフェースに関連付けられた正しいゲートウェイ アドレス オブジェクトを使用するには、ユーザが設定した静的ルートを作成し直す必要があります。静的ルートは、ファームウェアのアップグレード手順の一環として、手動で設定しなければなりません。

古いアドレス オブジェクトのデフォルト ゲートウェイは、LBグループのプライマリWANに関連付けられたデフォルト ゲートウェイに対応しています。セカンダリ デフォルト ゲートウェイは、バックアップWAN #1に関連付けられたデフォルト ゲートウェイに対応しています。

補足 デフォルト ゲートウェイとセカンダリ デフォルト ゲートウェイを参照する古いルートは、静的ルートを再追加してから削除してください。

DNS

このファームウェアでDNSの名前解決に関する問題が発生した場合は、「マニュアルでDNSサーバを指定する」オプションを選択して、サーバをパブリックDNSサーバ (ICANNまたは非ICANN) に設定しなければならいことがあります。

補足 場所によって、一部のDNSサーバが他のDNSサーバより早く応答することがあります。SonicWALL装置を使用する前に、これらのDNSサーバがインストール場所から正しく機能していることを確認してください。