第26章 IPヘルパーの使用


ネットワーク > IPヘルパー

UDP (User Datagram Protocol) の多くは、それぞれのサーバを探し出すためにブロードキャスト/マルチキャストを使用します。この際、通常はサーバが同じブロードキャスト サブネット上に存在する必要があります。サーバがクライアントと異なるサブネット上に存在する状況に対応するためには、UDPブロードキャスト/マルチキャストをサーバのサブネットに転送するメカニズムが必要になります。このメカニズムを、UDPブロードキャストの転送と呼びます。IPヘルパーを使用すると、ブロードキャスト/マルチキャスト パケットがファイアウォールのインターフェースを通過し、ポリシーに基づいて他のインターフェースに転送されるようになります。IPヘルパーの詳細については、TechNote「IP Helper on SonicOS Enhanced」 〈http://www.sonicwall.com/us/support/2134_3424.html〉 を参照してください。

IPヘルパーの設定


・ IPヘルパーを有効にする - IPヘルパー機能を有効にします。

・ DHCPをサポートする - SonicWALLセキュリティ装置から中央のDHCPサーバへのDHCP転送を有効にします。DHCPサーバを有効にすると、「DHCPサーバは有効になっています。設定を変更するには、ここを選択します。」というメッセージが表示されます。リンクを選択すると、「ネットワークDHCPサーバ」ページが表示されます。
警告 IPヘルパーのDHCPサポートを有効にする前に、SonicWALL DHCPサーバ機能を無効にする必要があります。DHCPサーバ設定を無効にしない限り、「DHCPをサポートする」チェックボックスは淡色表示のままになります。

・ NetBIOSをサポートする - NetBIOSブロードキャストの転送を有効にします。ウィンドウズ オペレーティング システムでネットワーク上のリソースを参照するには、NetBIOSが必須です。

IPヘルパー ポリシー

IPヘルパー ポリシーを使用すると、DHCPブロードキャストとNetBIOSブロードキャストをインターフェース間で転送できます。
補足 WANインターフェースおよびNAT向けに構成されたインターフェースについては、IPヘルパーではサポートしていません。

DHCP用のIPヘルパー ポリシーの追加

手順 1 IPヘルパー ポリシー」テーブルの下にある「追加」ボタンを選択します。「IPヘルパー ポリシーの追加」ウィンドウが表示されます。
手順 2 このポリシーは既定で有効になっています。有効にせずにポリシーを設定するには、「有効にする」チェックボックスをオフにします。
手順 3 プロトコル」メニューの「DHCP」を選択します。
手順 4 送信元」メニューで、送信元のインターフェースまたはゾーンを選択します。
手順 5 送信先」メニューで、送信先のアドレス グループまたはアドレス オブジェクトを選択するか、「ネットワークの作成」を選択して新しいアドレス オブジェクトを作成します。
手順 6 必要に応じて、「コメント」フィールドに任意のコメントを入力します。
手順 7 OK」を選択して、ポリシーを「IPヘルパー ポリシー」テーブルに追加します。

NetBIOS用のIPヘルパー ポリシーの追加

手順 1 IPヘルパー ポリシー」テーブルの下にある「追加」ボタンを選択します。「IPヘルパー ポリシーの追加」ウィンドウが表示されます。
手順 2 このポリシーは既定で有効になっています。有効にせずにポリシーを設定するには、「有効にする」チェックボックスをオフにします。
手順 3 プロトコル」メニューの「NetBIOS」を選択します。
手順 4 送信元」メニューで、送信元のアドレス グループまたはアドレス オブジェクトを選択します。新しいアドレス オブジェクトを作成する場合は、「ネットワークの作成」を選択します。
手順 5 送信先」メニューで、送信先のアドレス グループまたはアドレス オブジェクトを選択するか、「ネットワークの作成」を選択して新しいアドレス オブジェクトを作成します。
手順 6 必要に応じて、「コメント」フィールドに任意のコメントを入力します。
手順 7 OK」を選択して、ポリシーを「IPヘルパー ポリシー」テーブルに追加します。

IPヘルパー ポリシーの編集

IPヘルパー ポリシー」テーブルの「設定」列の編集アイコン を選択して、「IPヘルパー ポリシーの編集」ウィンドウを表示します。このウィンドウには、「IPヘルパー ポリシーの追加」ウィンドウと同じ設定項目が含まれています。

IPヘルパー ポリシーの削除

個々のIPヘルパー ポリシー エントリを削除するには、削除アイコン を選択します。「削除」ボタンを選択すると、「IPヘルパー ポリシー」テーブル内で選択されているすべてのIPヘルパー ポリシーが削除されます。

IPヘルパーの拡張機能

IPヘルパーは前バージョンの転送プレーンが拡張され、ユーザ定義のプロトコルと拡張ポリシーをサポートするようになりました。このため、IPヘルパーのUIは完全に変更されています。また、既存のNetBIOS/DHCPリレー アプリケーションをより細かく制御できるようになりました。

拡張された組み込みアプリケーションの一部を以下に示します。


・ DHCP - ポート番号はUDP 67/68

・ Net-BIOS NS - ポート番号はUDP 137

・ Net-BIOSデータグラム - ポート番号はUDP 138

・ DNS - ポート番号はUDP 53

・ Timeサービス - ポート番号はUDP 37

・ Wake on LAN (WOL)

・ mDNS - ポート番号はUDP5353、マルチキャスト アドレスは224.0.0.251

各プロトコルには次のオプションを設定できます。


・ 名前 - プロトコルの名前。大文字と小文字が区別されます。また、一意の名前を指定する必要があります。

・ ポート1/2 - 一意のUDPポート番号。

・ 送信元IPの変換を許可する - パケット転送の際のソースIPの変換。

・ タイムアウト - IPヘルパーのキャッシュ タイムアウト (秒数を10秒単位で指定)

・ Rawモード - IPヘルパー キャッシュを作成しない単方向の転送。この設定は、検出の目的で使用されるほとんどのユーザ定義プロトコル (WOL/mDNSなど) に適しています。
図 26:1

拡張されたIPヘルパーUI

各プロトコルには次のオプションを設定できます。


・ 名前 - プロトコルの名前。大文字と小文字が区別されます。また、一意の名前を指定する必要があります。

・ ポート1/2 - 一意のUDPポート番号。

・ 送信元IPの変換を許可する - パケット転送の際のソースIPの変換。

・ タイムアウト - IPヘルパーのキャッシュ タイムアウト (秒数を10秒単位で指定)

・ Rawモード - IPヘルパー キャッシュを作成しない単方向の転送。この設定は、検出の目的で使用されるほとんどのユーザ定義プロトコル (WOL/mDNSなど) に適しています。

ユーザ定義プロトコルの追加

プロトコル リスト テーブルの左下側にある「追加」ボタンを選択します。プロトコルを追加するには、次のフィールドを設定する必要があります。


・ 名前 - 大文字と小文字を区別した一意の名前を指定します。

・ ポート1/2 - 一意のUDPポート番号です。

・ タイムアウト - このフィールドはオプションです。IPヘルパー キャッシュ タイムアウトの秒数を10秒単位で指定します。指定しない場合は、既定値の30秒が選択されます。

・ 送信元IPの変換を許可する - 選択すると、転送されたパケットの送信元IPをファイアウォールが変換します。

・ Rawモード - 選択すると、IPヘルパーがキャッシュを作成せず、単方向の転送がサポートされます。

ユーザ定義プロトコルの編集

ユーザ定義プロトコルは、プロトコルの横にある「削除」ボタンを選択して削除できます。プロトコルの左端のチェックボックスを選択して、テーブルの左下側にある「削除」ボタンを選択することもできます。

カウンタの表示

プロトコルまたはポリシーの「統計」イメージにカーソルを置くと、プロトコルのトラフィックの状況がカウンタ上に表示されます。

TSRによるIPヘルパー キャッシュの表示

テクニカル サポート レポートでは、IPヘルパー キャッシュ、現在のポリシーおよびプロトコルのすべてが次のように表示されます。

#IP_HELPER_START

IP Helper

-----IP Helper Global Run-time Data-------

IP Helper is OFF

IP Helper - DHCP Relay is OFF

IP Helper - Netbios Relay is OFF

Total Number Of Fwded Packets :0

Total Number Of Dropped Packets :0

Total Number Of Passed Packets :0

Total Number Of Unknown Packets :0

Total Number Of record create failure :0

Total Number Of element create failure :0User-defined

-----IP Helper Applications -------

Name: DHCP

Port: 67, 68, Max Record: 4000, Status: OFF

CanBeDel: NO, ChangeIp: 1, Raw: NO

Max Element: 8000, Timeout: 3, index: 1, proto: 1,

Record Count: 0, Element Count: 0,

Fwded: 0, Dropped: 0, Passed: 0

Name: NetBIOS

Port: 138, 137, Max Record: 4000, Status: OFF

CanBeDel: NO, ChangeIp: 1, Raw: NO

Max Element: 8000, Timeout: 4, index: 2, proto: 1,

Record Count: 0, Element Count: 0,

Fwded: 0, Dropped: 0, Passed: 0

Name: DNS

Port: 53, 0, Max Record: 8000, Status: OFF

CanBeDel: NO, ChangeIp: 1, Raw: NO

Max Element: 16000, Timeout: 3, index: 3, proto: 1,

Record Count: 0, Element Count: 0,

Fwded: 0, Dropped: 0, Passed: 0

Name: TIME

Port: 37, 0, Max Record: 8000, Status: OFF

CanBeDel: NO, ChangeIp: 1, Raw: NO

Max Element: 16000, Timeout: 3, index: 4, proto: 1,

Record Count: 0, Element Count: 0,

Fwded: 0, Dropped: 0, Passed: 0

Name: WOL

Port: 7, 9, Max Record: 8000, Status: OFF

CanBeDel: NO, ChangeIp: 1, Raw: YES

Max Element: 16000, Timeout: 3, index: 5, proto: 1,

Record Count: 0, Element Count: 0,

Fwded: 0, Dropped: 0, Passed: 0

Name: mDNS

Port: 5353, 0, Max Record: 8000, Status: OFF

CanBeDel: NO, ChangeIp: 1, Raw: YES

Max Element: 16000, Timeout: 3, index: 6, proto: 1,

Record Count: 0, Element Count: 0,

Fwded: 0, Dropped: 0, Passed: 0

----------GEN APP Relay Policy-----------

----------------------------------Record Table----------------------------

Record(hash)[ClientIP, ClientIf, ClientMac, Proto, Vpn, transId, Age(pkts)]

Elmnt(hash)[serverIp, serverIf, srcIp, dhcpMac, transId, Vpn, proto(fm,to)]

---------------------------------------------------------------------------

----------DHCP Relay Policy-----------

--------NETBIOS Relay Policy-----------#IP_HELPER_END

mDNS転送

iRemote、iTunesおよびApple TV用にAppleサポートを有効化するには、mDNSプロトコルを有効にする必要があります。これらのパケットを転送するにはポリシーが必要です。次の図では、拡張IPヘルパーのmDNS転送のプロセスを説明しています。

SonicOS で mDNS をサポートするように設定するには、以下の手順を実行します。

手順 1 ネットワーク > IP ヘルパー」 ページに移動します。
手順 2 IP ヘルパーを有効にする」 チェックボックスを選択します。
手順 3 「リレー プロトコル」 セクションで、mDNS に対する 「有効」 チェックボックスを選択します。
手順 4 「ポリシー」 セクションで、「追加...」 ボタンを選択します。
手順 5 「プロトコル」 ドロップダウンから、「mDNS」 を選択します。
手順 6 「送信元」 ドロップダウンから、送信元インターフェースを選択します。
手順 7 「送信先」 ドロップダウンから、送信先サブネットを選択します。
手順 8 OK」 を選択します。