第45章 RF解析の使用
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この章では、SonicWALL SonicOSのRF解析機能を使用してSonicPoint装置とSonicPoint-N装置の無線帯域幅をできるだけ有効に利用する方法を説明します。 この章は、次のセクションで構成されています。
RF解析の概要
RF解析 (RFA) は、無線ネットワークの管理者が管理対象のSonicPoint、SonicPoint-N、およびその他のすべての近隣無線アクセス ポイントでの無線チャンネルの利用状況を把握するために使用する機能です。 このセクションは次のサブセクションで構成されています。
補足 SonicWALL RFAでは、サードパーティのアクセス ポイントを解析してその統計値をRFAデータに取り込むこともできますが、そのためにはSonicWALL装置で管理されているSonicPointアクセス ポイントが少なくとも1つ存在しなければなりません。
RF解析の必要性
無線インフラの配備とメンテナンスはネットワーク管理者にとって気が重い仕事です。 パフォーマンスが上がらない、接続性が悪いといった無線に関わる問題に無線ネットワークの管理者はたびたび直面しますが、皮肉にもそうした問題は、たいてい無線機の設定を解析して適切に調整するだけで解決できます。
RFAは、こうした無線に関する潜在的な問題を認識するためのツールです。 RFAが主に扱う問題はチャンネルの過負荷と隣接チャンネルのAP干渉です。 RFAは動作中の各SonicPointのRFスコアを計算してデータを表示し、それで管理者が問題のあるRF環境で動作しているアクセス ポイントを特定できるようにします。
RF環境
IEEE 802.11ではISM 2.4 GHz帯と5GHz帯の機器が規格の対象とされていますが、現在配備されている無線機器のほとんどは2.4 GHz帯を使用します。 各チャンネルの占有帯域幅は20MHzで、利用可能な11チャンネルのうちの3チャンネルだけが重複していません。 米国では、チャンネル1、6、および11が非重複チャンネルです。 多数のSonicPointを配備するときは、ほとんどの場合、この3チャンネルが使われます。
図 45:1
SonicPointの手動によるチャンネル選択![]()
2.4GHz帯は全体が3つの独立したチャンネル1、6、11に分割されます。 これを理想的なシナリオで遂行するには、次の2点に注意する必要があります。 1つはチャンネルの割り当てで、もう1つは出力の調節です。 たいていのシナリオでは、隣接するSonicPoint装置を異なるチャンネルに割り当てるのがベストと思われます。 SonicPointの電波出力も注意深く監視しなければなりません。 近くのクライアント同士が接続できるだけの十分な強度は必要ですが、同じチャンネル内で動作する他のSonicPointと干渉しない範囲の出力であることも必要です。
SonicPointでのRF解析の使用
RFAは、スコア、グラフ、および各種の数値に基づいて、無線に関する潜在的な問題や既存の問題をユーザが発見して特定できるようにします。
最適なシナリオとしては、同じチャンネルで同時に動作するAPの数をできるだけ少なくすることが望ましいわけですが、そのような状態を維持することは、特に多数のAPを配備した環境では現実的でありません。 また、ISM帯は一般に公開されているので、ネットワーク管理者が即座に対応しきれないその他の機器が動作していることも考えられます。
チャンネル使用率に関するグラフと情報
接続中のすべてのSonicPointにおけるチャンネルの利用状況をどう示すか模索するなかで、当社の結論としては、チャンネル使用率を示すグラフのようなものを表示することになりました。
図 45:2
RFAチャンネル使用率![]()
チャンネルごとに2つのカラー バーがあります。 各カラー バーの頭頂部の値は、そのチャンネルで問題を検出したSonicPointの数です。 起動時にSonicPointは利用可能なすべてのチャンネルに対してIDSスキャンを実行し、RFAはそれらのスキャンの結果を解析して各チャンネルに問題がないか判定します。
例:10台のSonicPointが接続されていて、そのうちの6台がチャンネル11を過負荷状態であると判定した場合は、紫色のカラー バーの頭頂部の値が6になります。 また、8台のSonicPointがチャンネル6をかなり干渉されていると判定した場合は、青色のカラー バーの頭頂部の値が8になります。 チャンネルに問題がなければ値0が表示されます。
補足 ここで示しているのはチャンネル12、13、14ですが、これらのチャンネルが使われていない国もあります。 しかし、それでもこれらのチャンネルは監視されます。 不法な無線妨害を試みる人物がチャンネル12、13、14のいずれかに無線妨害器を設置してチャンネルへのサービス妨害を仕掛けることがあるからです。
RFスコアの解釈
RFスコアは、1から10の範囲を縮尺とする値で計算され、特定のチャンネルの全般的な状態を示すために用いられます。 スコアの値は、それが大きいほどRF環境の状態がよいことを意味します。 スコアの値が小さい場合は、管理者がそのチャンネルに注意を払わねばならないことを意味します。
![]()
SonicWALLの無線ドライバが報告する信号強度 (RSSI値) から次の式で、1から100の範囲の値を縮尺とする基本スコアを求めることができます。
RFスコアを求めるための予備式:
・ rfaScore100 = 100-((rssiTotal-50)*7/10)) 簡略形:rfaScore100 = -0.7*rssiTotal + 135;このrfaScore100から次のように最終スコアが求められます。
・ RFAスコアが96より大きければ、10と報告する。
・ RFAスコアが15より小さければ、1と報告する。
・ その他のスコアは、1から10の縮尺に収まるように10で割った値の小数点以下を切り捨てて求める。SonicOSインターフェースにおいて、RFスコアはSonicPointが使用しているチャンネルについて表示されます。
補足 この機能は、SonicPointがどのチャンネルで動作しているかという情報に基づいています。 チャンネル番号がわからない場合、RFスコアは利用できなくなります。
過負荷チャンネルの表示
RFAは同一チャンネルで動作するAPの数が4を超えたことを検出すると警告を発します。 次に示すように、信号強度とは関係なく、RFAはそれらのチャンネルを過負荷状態であると報告します。
図 45:3
RFA過負荷チャンネル![]()
検出された各APに関する情報は、SSID、MAC、信号強度、およびチャンネルです。 信号強度には2つの値が示されます。 1つはdBm値で、もう1つは%値です。
RFA重度に干渉チャンネル
干渉を起こすのは同一チャンネルで動作するAPだけではありません。 隣接チャンネル (チャンネル番号の差が5より小さいチャンネル) で動作するAPも相互に干渉します。
RFAは、特定のSonicPointの周辺において番号の相対距離が5より小さい範囲にあるチャンネルで動作するAPの数が5を超えたことを検出すると、警告を発します。 信号強度とは関係なく、RFAはそれらのチャンネルを高干渉チャンネルとして報告します。
図 45:4
RFA重度に干渉チャンネル![]()