WMM アクセス種別

それぞれのアクセス種別には自身の伝送キューがあります。トラフィックには、アプリケーションまたはファイアウォールのいずれかから提供されるサービス種別 (ToS) 情報に基づいて適切なアクセス種別が割り当てられます。Dell SonicWALL セキュリティ装置は、アクセス ルールまたは VLAN タギングのいずれかを介して ToS を割り当てます。

以下の表に、WMM アクセス種別と 802.1D ユーザ優先順位の対応関係を示します。

 

表 97. Wi-Fi マルチメディアのアクセス種別

優先順位

ユーザ優先順位
(802.1D ユーザ優先順位と同じ)

802.1D の指定

WMM アクセス種別 (AC)

WMM AC 指定 (情報)

最低

最高

1

BK

AC_BK

バックグラウンド型

2

AC_BK

バックグラウンド型

0

BE

AC_BE

最大努力型

3

EE

AC_BE

最大努力型

4

CL

AC_VI

映像型

5

VI

AC_VI

映像型

6

VO

AC_VO

音声型

7

NC

AC_VO

音声型

WMM は、拡張型分散チャンネル アクセス (EDCA) と呼ばれるプロセスによってトラフィックに優先順位を付けます。EDCA は、WMM アクセス種別の間で伝送チャンネルへのアクセスを制御する競合ベースのメカニズムです。EDCA では listen-then-talk (リッスン後に通話) 方式を使用します。この方式では、クライアントは自分が伝送する前に、ランダムな "バックオフ" 時間待機して現在伝送中のデバイスがないかどうかを観察する必要があります。バックオフ時間は、競合する可能性が低減し、すべてのデバイスに機会が均等に与えられるようにランダム化されます。WMM は、アクセス種別ごとに異なる "バックオフ" 時間を定義してトラフィックに優先順位を付けます。WMM バックオフ時間は、以下の 2 つのパラメータで定義されます。

Arbitration Inter-Frame Space (AIFS) – 無線チャンネルが無動作状態になってから、AC がチャンネルへのアクセスのネゴシエーションを開始できるようになるまでの時間間隔。
Contention Window (CW) – ランダムなバックオフ時間のとり得る値の範囲。ランダムなバックオフ時間を指定する時間の範囲。CW は最小値と最大値で定義されます。
Minimum contention window size (CWMin) – CW の長さの最初の上限。AC は 0 ~ CWMin までのランダム時間待機してから伝送を試みます。優先順位の高い AC にはそれだけ短い CWMin が割り当てられます。
Maximum contention window size (CWMax) – CW の上限。競合が発生した場合、AC は CW のサイズを 2 倍にして (最大 CWMax まで) 伝送を再度試みます。CWMax は CWMin よりも大きい必要があります。

一般に、優先順位の高い AC には、AIFS、CWMin、CWMax の値が小さく設定されます。

アクセス ポイント (SonicPoint) とステーション (Dell SonicWALL セキュリティ装置) にそれぞれ異なる WMM パラメータが設定されます。以下の表に、SonicPoint と Dell SonicWALL セキュリティ装置の既定の WMM パラメータを示します。

 

表 98. SonicPoint の既定の WMM パラメータ

WMM アクセス種別 (AC)

WMM AC 指定 (情報)

CWMin

CWMax

AIFS

AC_BE(0)

最大努力型

4

6

3

AC_BK(1)

バックグラウンド型

4

10

7

AC_VI(2)

映像型

3

4

1

AC_VO(3)

音声型

2

3

1

 

表 99. Dell SonicWALL セキュリティ装置の既定の WMM パラメータ

WMM アクセス種別 (AC)

WMM AC 指定 (情報)

CWMin

CWMax

AIFS

AC_BE(0)

最大努力型

4

10

3

AC_BK(1)

バックグラウンド型

4

10

7

AC_VI(2)

映像型

3

4

2

AC_VO(3)

音声型

2

3

2