ファイアウォール設定 > マルチキャスト

IP マルチキャストは、1 つのインターネット プロトコル (IP) パケットを同時に複数のホストに送信する手法です。マルチキャストは、インターネット トラフィックで急速に大きな位置を占めつつあるマルチメディア プレゼンテーションおよびビデオ会議に適しています。例えば、1 つのホストからオーディオ ストリームとビデオ ストリームが送信され、そのストリームを 10 個のホストで受信するとします。マルチキャストの場合、送信側ホストは特定のマルチキャスト アドレスを使って 1 つの IP パケットを送信します。受信側の 10 個のホストでは、そのアドレス宛のパケットをリッスンして受信するように設定するだけで済みます。マルチキャストは、コネクションレス モードで動作するポイント ツー マルチポイント IP 通信メカニズムです。 ホストでは、ラジオのように“チューニング"することでマルチキャスト送信ストリームを受信します。

ファイアウォール設定 > マルチキャスト」ページで、ファイアウォール上のマルチキャスト トラフィックを管理できます。

トピック:

マルチキャスト設定

ここでは、マルチキャスト設定の設定作業について説明します。

マルチキャストを有効にする」- このチェックボックスは、既定では無効です。マルチキャスト トラフィックをサポートするには、このチェックボックスをオンにします。
マルチキャストデータ転送のためにIGMPメンバーシップレポートを要求する」- このチェックボックスは既定で有効です。このチェックボックスをオンにすると、IGMP を使用してマルチキャスト グループ アドレスに追加されたインターフェースにのみマルチキャスト データを転送するように限定することで、パフォーマンスを向上します。
マルチキャスト状態テーブル登録タイムアウト (分)」- このフィールドの既定値は 5 です。このフィールドの値の範囲は 5~60 (分) です。以下のような場合、既定のタイムアウト値 5 を変更してください。

マルチキャスト ポリシー

ここでは、マルチキャスト ポリシーの設定作業について説明します。

すべてのマルチキャスト アドレスの受け取りを有効にする」- このラジオ ボタンは既定で無効になっています。このラジオ ボタンを選択すると、すべての (クラス D) マルチキャスト アドレスが受信されます。すべてのマルチキャスト アドレスを受信した場合、ネットワークのパフォーマンスが低下する可能性があります。
以下のマルチキャスト アドレスの受け取りを有効にする」- このラジオ ボタンは既定で有効になっています。ドロップダウン メニューで、「マルチキャスト オブジェクトの作成」または「マルチキャスト グループの作成」を選択します。
マルチキャスト アドレス オブジェクトを作成するには、以下の手順に従います。
1
以下のマルチキャスト アドレスの受け取りを有効にする」リストで、「マルチキャスト オブジェクトの作成」を選択します。
2
名前:アドレス オブジェクトの名前。
ゾーンの割り当て:MULTICAST を選択します。
種別:「ホスト」、「範囲」、「ネットワーク」、または「MAC」を選択します。
IP アドレス:「ホスト」または「ネットワーク」を選択した場合、そのホストまたはネットワークの IP アドレスを指定します。IP アドレスは、マルチキャストのアドレス範囲である224.0.0.0~239.255.255.255の範囲内で指定する必要があります。
ネットマスク:「ネットワーク」を選択した場合、ネットワークのサブネット マスクを指定します。
開始 IP アドレス」および「終了 IP アドレス」:「範囲」を選択した場合、アドレス範囲を表す開始アドレスと終了アドレスを指定します。IP アドレスは、マルチキャストのアドレス範囲である224.0.0.1~239.255.255.255の範囲内で指定する必要があります。

IGMP 状態テーブル

ここでは、IGMP 状態テーブルのフィールドについて説明します。

マルチキャスト グループ アドレス」- インターフェースが属しているマルチキャスト グループ アドレスです。
インターフェース/VPN トンネル」- VPN ポリシーのインターフェース (LANなど) です。
IGMP バージョン」- IGMP バージョン (V2 や V3 など) です。
消去」および「すべて消去」ボタン - 特定の登録を直ちに消去するには、その登録の左側にあるチェックボックスをオンにして、「消去」を選択します。すべての登録を直ちに消去するには、「すべて消去」ボタンを選択します。

LAN 専用インターフェースでのマルチキャストの有効化

LAN 専用インターフェースのマルチキャスト サポートを有効化するには、以下の手順を実行します。
1
ファイアウォール設定 > マルチキャスト」ページに移動します。
2
マルチキャスト設定」で、「マルチキャストを有効にする」を選択します。
3
マルチキャスト ポリシー」で、「すべてのマルチキャスト アドレスの受け取りを有効にする」を選択します。
4
ネットワーク > インターフェース」ページに移動します。
5
設定する LAN インターフェースの「設定」ボタンをクリックします。
6
インターフェースの編集」ダイアログの「詳細」タブで、「マルチキャスト サポートを有効にする」を選択します。
VPN トンネルを使用してオブジェクトのマルチキャスト サポートを有効にするには、以下の手順を実行します。
1
ファイアウォール設定 > マルチキャスト」ページに移動します。
2
マルチキャスト設定」で、「マルチキャストを有効にする」を選択します。
3
マルチキャスト ポリシー」で、「すべてのマルチキャスト アドレスの受け取りを有効にする」を選択します。
4
ドロップダウン メニューから「マルチキャスト アドレス オブジェクトの作成....」を選択します。

アドレス オブジェクトの追加」ダイアログが表示されます。

5
名前」ボックスに、マルチキャスト アドレス オブジェクトの名前を入力します。
6
ゾーンの割り当て」メニューで、「LAN」、「WAN」、「DMZ」、「VPN」、「SSLVPN」、「MGMT」、「MULTICAST」、または「WLAN」のいずれかのゾーンを選択します。
7
種別」メニューでホスト」、「範囲」、「ネットワーク」、「MAC」、または「FQDN」を選択します。
ホスト」を選択した場合、「IP アドレス」ボックスに IP アドレスを入力します。
範囲」を選択した場合、開始 IP アドレス終了 IP アドレスを入力します。
ネットワーク」を選択した場合、ネットワークの IP アドレスとサブネット マスクを入力します。
MAC」を選択した場合、MAC アドレスを入力します。
8
VPN > 設定」ページに移動します。
9
VPN ポリシー」で、設定するグループ VPN ポリシーの「設定」ボタンをクリックします。
10
VPN ポリシー」ダイアログの「詳細」タブで、「マルチキャストを有効にする」を選択します。

VPN を使用したマルチキャストの有効化

VPN を使用して WAN 全体でマルチキャストを有効にするには、以下の手順に従います。
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マルチキャストをグローバルに有効にします。「ファイアウォール設定 > マルチキャスト」ページで、「マルチキャストを有効にする」チェックボックスをオンにし、各セキュリティ装置について「適用」ボタンを選択します。
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マルチキャスト ネットワークに追加される各インターフェースで、マルチキャストのサポートを有効にします。追加されるすべてのセキュリティ装置の各インターフェースについて、「ネットワーク > インターフェース」ページを開き、「インターフェースの編集:詳細」タブで、「マルチキャスト サポートを有効にする」チェックボックスを選択します。

3
VPN ポリシーでセキュリティ装置間のマルチキャストを有効にします。「VPN > 設定」ページで、各ポリシーの「詳細」タブを開き、「マルチキャストを有効にする」チェックボックスをオンにします。

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IGMP 状態テーブル (更新直後) に、X3インターフェース上と 224.15.16.17 グループのvpnMcastServer トンネルにマルチキャスト クライアントがある旨の情報が示されます。

補足:すべてのマルチキャスト アドレスの受け取りを有効にする」を選択すると、IGMP 状態テーブルを表示したときに、想定外のエントリが表示される場合があります。この現象は、ホストで他のマルチキャスト アプリケーションが動作していることが原因で発生します。