このセクションでは、アクティブ/アクティブ クラスタリング機能の概要を説明します。アクティブ/アクティブ クラスタリングを使用すると、特定のトラフィック フローをクラスタ内の各ノードに割り当て、負荷分散や冗長性を実現したり、単一障害点のないスループットの大幅向上をサポートしたりできます。
一般的な推奨セットアップには、2 つのクラスタ ノードとして設定された、同一 SonicWALL モデルである 4 つのファイアウォールが含まれ、各クラスタ ノードは 1 つのステートフル HA ペアを構成します。より大規模な配備では、4 つのクラスタ ノード (または HA ペア) として設定された、8 つのファイアウォールをこのクラスタに含めることができます。各クラスタ ノード内では、単一障害点でのデータ損失がゼロとなるシームレスなフェイルオーバーを実現するために、ステートフル HA 機能によって同期された動的な状態が維持されます。ステートフル HA は、必須ではありませんが、フェイルオーバー時に最高のパフォーマンスを得るために強く推奨されます。
負荷分散は、異なるクラスタ ノードをネットワーク内の別々のゲートウェイとして設定することで実現されます。通常、この機能はアクティブ/アクティブ クラスタのダウンストリーム側にある別の機器 (DHCP サーバ、ルータなど) によって処理されます。
1 つのクラスタ ノードを単独のファイアウォールとし、2 つのファイアウォールを使用してアクティブ/アクティブ クラスタのセットアップを構築することもできます。この配備のファイアウォールの 1 つに障害が発生した場合、クラスタ ノード内のどちらのファイアウォールにも HA セカンダリが存在しないので、フェイルオーバーはステートフルではありません。
アクティブ/アクティブ クラスタリングでは、冗長性がいくつかのレベルで実現されます。
以下の図に 4 台の装置によるクラスタを示します。各クラスタ ノードには 1 つの HA ペアが含まれています。4 台の装置すべての指定された HA ポートは同じ レイヤ 2 スイッチに接続されています。これらのポートは、SVRRP 経由で送信されるクラスタ ノードの管理と監視に関する状況メッセージや、設定の同期に使用されます。また、各 HA ペア内の 2 台の装置は、別のインターフェース (図中の "Xn" インターフェース) を使用して相互に接続されています。これは、アクティブ/アクティブ DPI で必要となるアクティブ/アクティブ DPI インターフェースです。アクティブ/アクティブ DPI が有効になっている場合、特定のパケットは DPI 処理のために HA ペアのスタンバイ装置にオフロードされます。
図 56. 装置 4 台によるアクティブ/アクティブ クラスタ

冗長ポートと冗長スイッチの物理的接続の詳細については、『Active/Active Clustering Full Mesh Deployment Technote』を参照してください。
以下の図に 2 台の装置によるクラスタを示します。装置 2 台のクラスタでは、HA ペアは使用されません。代わりに、各クラスタ ノードには 1 台の装置のみが含まれます。2 台の装置の指定された HA ポートは、クロスオーバー ケーブルを使用して相互に直接接続されます。SonicWALL Virtual Router Redundancy Protocol (SVRRP) では、この HA ポート接続を使用して、クラスタ ノードの管理と監視に関する状況メッセージを送信します。SVRRP 管理メッセージはマスター ノードから送信され、監視情報はクラスタ内のすべての装置から送信されます。HA ポート接続は、クラスタ ノード間での設定の同期にも使用されます。
図 57. 装置 2 台によるアクティブ/アクティブ クラスタ

アクティブ/アクティブ クラスタリングのメリットは次のとおりです。
アクティブ/アクティブ クラスタリングを説明するために、いくつかの重要な概念を導入します。これらの新しい概念の説明と、既存の機能に対する変更内容については、以下のセクションを参照してください。
アクティブ/アクティブ クラスタは、クラスタ ノードの集まりによって形成されます。クラスタ ノードは、ステートフル HA ペア、ステートレス HA ペア、または単一のスタンドアロン装置によって構成できます。動的な状態の同期は、ステートフル HA ペアのクラスタ ノードでのみ利用できます。従来の SonicWALL 高可用性プロトコルまたはステートフル HA プロトコルは、クラスタ ノード内の通信、つまり HA ペアである装置間の通信で使用されます。
クラスタ ノードがステートフル HA ペアである場合、パフォーマンス向上のためにアクティブ/アクティブ DPI をクラスタ ノード内で有効にできます。
クラスタ内のすべての機器は、同じ製品モデルで、同じファームウェア バージョンを実行している必要があります。
クラスタ内では、すべての装置が相互に接続され、通信を行います。クラスタ ノード間の通信では、SonicWALL Virtual Router Redundancy Protocol (SVRRP) という新しいプロトコルが使用されます。クラスタ ノードの管理と監視に関する状況メッセージは、SVRRP を使用して送信されます。
すべてのクラスタ ノードは同じ設定を共有し、その設定はマスター ノードによって同期されます。マスター ノードは、クラスタ内の他のノードに対するファームウェアの同期も担当します。HA ポート接続は、設定およびファームウェアの更新の同期に使用されます。
動的な状態は、クラスタ ノード間では同期されず、クラスタ ノード内でのみ同期されます。クラスタ ノードに HA ペアが含まれる場合、そのクラスタ ノード内でステートフル HA を有効にでき、必要に応じて動的な状態の同期とステートフル フェイルオーバーの利点が得られます。クラスタ ノード全体に障害が発生した場合、フェイルオーバーはステートレスになります。これは、既存のネットワーク接続の再構築が必要になることを意味します。例えば、Telnet および FTP セッションを再確立し、VPN トンネルを再ネゴシエートする必要があります。
フェイルオーバーの仕組みについては、フェイルオーバーについて を参照してください。
現在、1 つのクラスタ内のクラスタ ノードは最大 4 つに制限されています。各クラスタ ノードが HA ペアである場合、各クラスタには 8 つのファイアウォールが含まれることになります。
図 58. 2 ノードのアクティブ/アクティブ クラスタ

許可される管理動作の種類は、クラスタ内のファイアウォールの状態によって異なります。マスター ノードのアクティブ ファイアウォール上で適切な権限を持つ管理者ユーザは、すべての設定動作など、あらゆる動作を実行できます。非マスター ノードのアクティブ ファイアウォールでは一部の動作が許可されており、スタンバイ状態のファイアウォールでは許可されている動作がさらに少なくなります。クラスタ内の非マスター ノードのアクティブ ファイアウォールやスタンバイ ファイアウォールで許可されている動作の一覧については、Table 153を参照してください。
アクティブ/アクティブ クラスタリングでは、仮想グループの概念もサポートしています。同時に最大 4 つの仮想グループがサポートされます。
仮想グループは、クラスタの設定で設定されたすべてのインターフェースに対する仮想 IP アドレスの集まりです (未使用/未割り当てのインターフェースに仮想 IP アドレスはありません)。アクティブ/アクティブ クラスタリングが初めて有効になったときに、そのファイアウォールのインターフェースに対して設定された IP アドレスは、仮想グループ 1 の仮想 IP アドレスに変換されます。そのため、仮想グループ 1 には、X0、X1、およびゾーンに対して設定および割り当てが行われているその他のあらゆるインターフェースの仮想 IP アドレスが含まれることになります。
仮想グループは、トラフィック フローの論理グループが障害発生時の状況に応じてあるノードから別のノードへのフェイルオーバーが可能であるという点で、フェイルオーバー コンテキスト内のトラフィック フローの論理的なグループとも見なせます。各仮想グループには、オーナーとして機能するクラスタ ノードが 1 つ、スタンバイとして機能するクラスタ ノードが 1 つ以上存在します。1 つの仮想グループは一度に 1 つのクラスタ ノードによってのみ所有され、そのクラスタ ノードはその仮想グループに関連付けられているすべての仮想 IP アドレスのオーナーになります。仮想グループ 1 のオーナーは、マスター ノードとして指定され、クラスタ内の他のノードに対する設定とファームウェアの同期を担当します。仮想グループのオーナー ノードが障害が発生した場合は、スタンバイ ノードの 1 つがオーナーになります。
アクティブ/アクティブ クラスタリングの設定の一環として、クラスタ内の他のファイアウォールのシリアル番号を SonicOS 管理インターフェースに入力し、スタンバイの順序を示す順位付け番号をそれぞれに割り当てます。アクティブ/アクティブ クラスタリングの設定の適用時には、追加のクラスタ ノード数に応じて、最大 3 つ追加仮想グループを作成できますが、これらの仮想グループについては仮想 IP アドレスが作成されません。こうした仮想 IP アドレスは、「ネットワーク > インターフェース」ページで、設定する必要があります。
仮想グループのオーナーシップ (どのクラスタ ノードを仮想グループのオーナーにするか) を決定する際には、次の 2 つの要因を考慮します。
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クラスタ ノードのランク – このランクは、仮想グループのオーナーシップを引き継ぐ各ノードの優先順位を指定するために、SonicOS 管理インターフェースで設定します。
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あるクラスタ内に設定されているクラスタ ノード数が 2 を超えている場合、仮想グループのオーナーシップを取得できる最適なクラスタ ノードがこれらの要因によって決定されます。2 つのクラスタ ノードを持つクラスタでは、一方のノードに障害が発生すると、必然的にもう一方のノードがオーナーシップを取得することになります。
仮想グループのリンクの状態とオーナーシップの状態をクラスタ内のすべてのクラスタ ノードに伝えるために、SVRRP が使用されます。
仮想グループ 1 のオーナーは、マスター ノードに指定されます。設定の変更やファームウェアの更新はマスター ノードでのみ許可され、マスター ノードは SVRRP を使用して、設定とファームウェアの同期をクラスタ内のすべてのノードに対して行います。特定のインターフェースでは、仮想グループ 1 の仮想 IP アドレスを設定しないと、他の仮想グループを設定できません。
仮想グループのトラフィックは、オーナー ノードによってのみ処理されます。仮想グループに到着するパケットは、同じ仮想グループのファイアウォールを通過します。通常の設定では、各クラスタ ノードは、仮想グループを持つので、1 つの仮想グループに対応したトラフィックを処理します。
この仮想グループの機能は、冗長化された複数ゲートウェイのモデルをサポートしています。2 つのクラスタ ノードを持つ配備では、X0 による仮想グループ 1 の IP アドレスをあるゲートウェイに、X0 による仮想グループ 2 の IP アドレスを別のゲートウェイにすることができます。トラフィックを各ゲートウェイにどのように割り当てるかは、ネットワーク管理者に委ねられます。例えば、ゲートウェイの割り当てを直接的に接続されたクライアント ネットワーク上の各 PC に配布する気の利いた DHCP サーバを使用することも、ポリシー ベースのルートをダウンストリームのルータで使用することもできます。
アクティブ/アクティブ クラスタリングが有効になると、SonicOS の内部 DHCP サーバはオフになり、有効にできなくなります。DHCP サーバを必要とするネットワークでは、ゲートウェイの割り当てを配布できるように、複数のゲートウェイを認識する外部 DHCP サーバを使用できます。
アクティブ/アクティブ クラスタリングが初めて有効になったときに、すべての設定済みインターフェースの既存 IP アドレスは、仮想グループ 1 の仮想 IP アドレスに自動的に変換されます。仮想グループ 1 または任意の仮想グループが作成されると、既定のインターフェース オブジェクトが、仮想 IP アドレスに対して適切な名前 ("仮想グループ 1"、"仮想グループ 2" など) で作成されます。同じインターフェースに複数の仮想 IP アドレス (設定される仮想グループごとに 1 つ) を持たせることができます。こうした仮想 IP アドレスは、「ネットワーク > インターフェース」ページで、確認できます。
仮想 MAC アドレスは、インターフェース上の各仮想 IP アドレスと関連付けられ、Sonic OS によって自動的に生成されます。仮想 MAC アドレスは 00-17-c5-6a-XX-YY という形式で作成されます。ここで、XX はインターフェース番号 (ポート X3 の場合は "03")、YY は内部グループ番号 (仮想グループ 1 の場合は "00"、仮想グループ 2 の場合は "01") です。
影響を受ける、各仮想グループのインターフェース オブジェクトに対し、NAT ポリシーが自動的に作成されます。こうした NAT ポリシーは、特定のインターフェースに対する既存の NAT ポリシーを、対応する仮想インターフェースにまで拡大します。これらの NAT ポリシーは、「ネットワーク > NAT ポリシー」ページで確認できます。追加の NAT ポリシーは、必要に応じて設定したり、それが適切な場合にはある仮想グループに特有のものにしたりできます。
アクティブ/アクティブ クラスタリングが有効になった後は、VPN ポリシー追加時の設定で仮想グループ番号を選択する必要があります。
アクティブ/アクティブ クラスタ内のクラスタ ノード間の通信では、SonicWALL Virtual Router Redundancy Protocol (SVRRP) という新しいプロトコルが使用されます。クラスタ ノードの管理と監視に関する状況メッセージは、SVRRP を使用してアクティブ/アクティブ クラスタ リンクを介して送信されます。
SVRRP は、設定の変更、ファームウェアの更新、およびシグネチャの更新をマスター ノードからクラスタ内のすべてのノードに対して同期するためにも使用されます。各クラスタ ノードでは、アクティブな装置のみが SVRRP メッセージを処理します。
アクティブ/アクティブ クラスタ リンクに障害が発生した場合には、SVRRP ハートビート メッセージが X0 インターフェースで送信されます。ただし、アクティブ/アクティブ クラスタ リンクがダウンしている間は、設定の同期が行われません。ファームウェアまたはシグネチャの更新、ポリシーの変更、およびその他の設定変更は、アクティブ/アクティブ クラスタ リンクが修復されるまで、他のクラスタ ノードに対して同期できません。
アクティブ/アクティブ クラスタリングが有効な場合に発生しうるフェイルオーバーには次の 2 種類があります。
アクティブ/アクティブ フェイルオーバーはステートレスです。つまり、ネットワーク接続はリセットされ、VPN トンネルの再ネゴシエートが必要になります。レイヤ 2 ブロードキャストによってトポロジの変更がネットワーク機器に通知され、仮想グループの新しいオーナーとなったクラスタ ノードが新たに所有した仮想 IP アドレスに対する仮想 MAC アドレスによって ARP 要求を生成します。これにより、フェイルオーバーの処理は大幅に簡素化されます。接続されているスイッチのみが学習テーブルを更新すれば済むからです。その他すべてのネットワーク機器は、引き続き同じ仮想 MAC アドレスを使用します。仮想 IP アドレスと仮想 MAC アドレスのマッピングは保持されているので、ARP テーブルを更新する必要はありません。
高可用性 (HA) フェイルオーバーとアクティブ/アクティブ フェイルオーバーのどちらも可能な場合には、次の理由により、HA フェイルオーバーがアクティブ/アクティブ フェイルオーバーよりも優先されます。
アクティブ/アクティブ フェイルオーバーは、必ずアクティブ/アクティブの先制モードで行われます。先制モードでは、2 つのクラスタ ノード間でのフェイルオーバー後に、仮想グループの元のオーナー ノードが稼働状態に復元されたことが確認されると、そのノードがスタンバイ ノードからアクティブの役割を取り戻すことになります。すべての仮想 IP インターフェースが起動していて 2 つのクラスタ ノード間でリンクの重みが同じ場合、元のオーナーは、順位が高いため、仮想グループでの優先度が高くなります。
アクティブ/アクティブ DPI は、アクティブ/アクティブ クラスタリングと併用できます。アクティブ/アクティブ DPI が有効になっている場合、DPI 処理には HA ペアのスタンバイ ファイアウォールが利用されます。
アクティブ/アクティブ クラスタのパフォーマンスを向上するために、アクティブ/アクティブ DPI を有効にすることをお勧めします。アクティブ/アクティブ DPI は、HA ペアのスタンバイ ファイアウォールを活用して精密パケット検査 (DPI) を処理するからです。
アクティブ/アクティブ クラスタリングが有効になっている場合、各クラスタ ノードの HA ペアでは HA 監視の設定がサポートされます。HA 監視機能は、以前のバージョンと首尾一貫しています。HA 監視は、物理/リンク監視と論理/プローブ監視の両方で設定できます。マスター ノードにログインした後、「高可用性 > 監視」ページで、監視設定をノードごとに追加する必要があります。
物理インターフェース監視により、監視対象インターフェースのリンク検出が有効になります。このリンクの検出は、リンクの動作状態を判断するために物理層で行われます。
物理インターフェース監視が有効になっている場合は、論理監視の有効/無効に関係なく、HA フェイルオーバーがアクティブ/アクティブ フェイルオーバーよりも優先されます。アクティブ装置でリンクに障害が発生するかポートが切断されると、その HA ペアのスタンバイ装置がアクティブになります。
論理監視とは、SonicOS を設定して接続先ネットワークの 1 つ以上に存在する信頼性の高い機器を監視することです。HA ペアのアクティブな装置がこの機器との定期的な通信に失敗すると、スタンバイ装置へのフェイルオーバーが実行されます。HA ペアのどちらの装置もこの機器に接続できない場合は、この機器に問題があると見なされ、フェイルオーバーは行われません。
物理監視と論理監視のどちらも無効になっている場合は、リンクの障害発生時またはポートの切断時にアクティブ/アクティブ フェイルオーバーが行われます。
「高可用性 > 監視」ページで設定されるプライマリおよびセカンダリ IP アドレスは、LAN または WAN インターフェース上で設定でき、以下に示す複数の目的に使用されます。
HA ペアの両方の装置に管理 IP アドレスを設定すると、管理のために各装置に個別にログインできます。監視 IP アドレスのいずれかに送信された管理目的ではないトラフィックは無視されます。プライマリ ファイアウォールおよびセカンダリ ファイアウォールの一意の LAN IP アドレスは、アクティブ ゲートウェイとしては機能できません。内部 LAN に接続されたすべてのシステムは、ゲートウェイとして仮想 LAN IP アドレスを使用する必要があります。
セカンダリ装置の管理 IP アドレスを使用すると、SonicWALL ライセンス サーバとライセンスを同期できます。このサーバは、HA ペア単位ではなく装置単位でライセンスを管理します。HA の関連付けを作成する前にスタンバイ装置が MySonicWALL で登録されていた場合でも、管理 IP アドレスからセカンダリ装置にアクセスしているときは、SonicWALL サーバに接続する場合に「システム > ライセンス」ページ上のリンクを使用する必要があります。これにより、スタンバイ装置と SonicWALL ライセンス サーバとの間のライセンス (アクティブ/アクティブ クラスタリング、ステートフル HA などのライセンス) の同期が可能になります。
論理監視の使用時には、指定された論理精査 IP アドレスを送信先とした Ping が、HA ペアのプライマリおよびセカンダリの SonicWALL から実行されます。「プライマリ IP アドレス」または「セカンダリ IP アドレス」のフィールドに設定された IP アドレスは、Ping の送信元 IP アドレスとして使用されます。両方が送信先への Ping に成功した場合、フェイルオーバーは発生しません。両方が送信先への Ping に失敗した場合は、SonicWALL ではなく送信先に問題があると見なし、フェイルオーバーは発生しません。しかし、一方の SonicWALL が送信先への Ping に成功し、もう一方が失敗した場合は、Ping に成功したほうの SonicWALL へのフェイルオーバーが行われます。
「高可用性 > 監視」ページでの設定タスクは、プライマリ装置で実行された後、セカンダリ装置に対して自動的に同期されます。
以下のセクションでは、アクティブ/アクティブ クラスタリングに関する機能サポート情報を示します。
アクティブ/アクティブ クラスタリングが有効になっている場合、WAN では静的 IP アドレスしか使用できません。
以下の機能は、アクティブ/アクティブ クラスタリングが有効な場合にはサポートされません。
以下の機能は、仮想グループ 1 でのみサポートされます。
アクティブ/アクティブ クラスタリング機能には、下位互換性がありません。アクティブ/アクティブ クラスタリングをサポートしていない以前のリリースから SonicOS をアップグレードする際には、以前のバージョンの SonicOS が動作している HA ペアから設定をエクスポートする前に、高可用性を無効にすることを強くお勧めします。そうすれば、アップグレード後の競合が発生する可能性なしに設定をインポートできます。
SonicWALL SonicPoints をアクティブ/アクティブ クラスタリングと併用する場合には、次の 2 つの点を考慮します。
アクティブ/アクティブ クラスタ内で WAN 負荷分散 (WLB) が有効になっている場合は、クラスタ内のすべてのノードで同じ WLB インターフェース設定が使用されます。
WAN インターフェースに障害が発生すると、以下の状況に応じて、WLB フェイルオーバー、HA ペア フェイルオーバー、または別のクラスタ ノードへのアクティブ/アクティブ フェイルオーバーのいずれかが行われます。
このセクションでは、ルーティング トポロジとルーティング プロトコルに関するアクティブ/アクティブ クラスタリング設定の現時点での制限事項と特殊な要件について説明します。
レイヤ 2 でブリッジ接続されたインターフェースは、クラスタ設定ではサポートされません。
OSPF はアクティブ/アクティブ クラスタリングと共にサポートされます。OSPF が有効になっている場合、アクティブなクラスタ ノードのそれぞれの OSPF 対応インターフェースで OSPF が実行されます。ルーティングの観点からは、すべてのクラスタ ノードが並列なルータとなり、そのそれぞれがクラスタ ノードのインターフェースの仮想 IP アドレスを持ちます。一般に、あるノードによってアドバタイズされたネットワークはすべて、他のすべてのノードによってアドバタイズされることになります。
各クラスタ ノードの OSPF ルータ ID は、一意でなければならず、次のようにマスター ノードで設定されているルータ ID から派生します。
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ユーザがルータ ID に 0 または 0.0.0.0 以外の任意の値を入力した場合、各ノードには、ノードごとに値が 1 ずつ増える連続値を持つルータ ID が割り当てられます。例えば、マスター ノードにルータ ID 10.0.0.1 が設定された 4 ノードのクラスタでは、次のようにルータ ID が割り当てられます。
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RIP はサポートされており、OSPF と同様、各クラスタ ノードの RIP 対応インターフェースで動作します。ルーティングの観点からは、すべてのクラスタ ノードがクラスタ ノードのインターフェースの仮想 IP アドレスを持つ並列なルータとなります。一般に、あるノードによってアドバタイズされたネットワークはすべて、他のすべてのノードによってアドバタイズされることになります。
BGP はクラスタでサポートされ、またクラスタ ノードのインターフェースの仮想 IP アドレスを使用している並列な BGP ルータとなります。OSPF や RIP と同様、マスター ノードで行われた設定の変更は、他のすべてのクラスタ ノードに適用されます。CLI によってのみ設定を適用できる BGP の場合は、実行中の設定を CLI コマンド write file で保存するときに設定が配信されます。
SonicOS 6.2.4.0 では、トラフィックがファイアウォール上の異なるレイヤ 2 ブリッジ ペア インターフェースを通るとき、または高可用性クラスタ内の異なるファイアウォールを通るときに、非対称ルーティングがサポートされるようになりました。
アクティブ/アクティブ クラスタリングでは、以下の追加の物理接続が必要です。
アクティブ/アクティブ クラスタリング設定には、仮想グループ ID と冗長ポートの設定を含めることができます。これらのタスクの両方に関する手順については、このセクションの「高可用性 > 設定 」セクションを参照してください。
アクティブ/アクティブ クラスタリングの場合、アクティブ/アクティブ クラスタ内のすべての装置の指定された HA ポートを同じレイヤ 2 ネットワークに物理的に接続する必要があります。
SonicWALL では、すべての指定された HA ポートを同じレイヤ 2 スイッチに接続することをお勧めします。専用のスイッチを使用することも、単純に内部ネットワークにある既存のスイッチ上の一部のポートを使用することもできます。これらのスイッチ ポートはすべて、それらの間でトラフィックを自由に流すためにレイヤ 2 トラフィックを許可するように設定する必要があります。
2 つのクラスタ ノードがそれぞれ 1 台の装置しか持たない、2 台の装置によるアクティブ/アクティブ クラスタ配備の場合は、互いの HA ポートどうしをクロスオーバー ケーブルを使用して接続できます。この場合、スイッチは必要ありません。
SonicWALL Virtual Router Redundancy Protocol (SVRRP) では、この HA ポート接続を使用して、クラスタ ノードの管理と監視に関する状況メッセージを送信します。SVRRP 管理メッセージはマスター ノードから送信され、監視情報はクラスタ内のすべての装置から送信されます。
HA ポート接続は、マスター ノードから配備内の他のクラスタ ノードへの設定の同期にも使用されます。こうした設定には、ファームウェアまたはシグネチャのアップグレード、VPN および NAT に関するポリシー、およびその他の設定も含まれます。
未使用の物理インターフェースは、"プライマリ インターフェース" と呼ばれる設定された物理インターフェースへの冗長ポートとして割り当てることができます。各クラスタ ノードでは、プライマリ ポートと冗長ポートの各ペアを同じスイッチ、できればネットワーク内の冗長スイッチに物理的に接続する必要があります。
アクティブ/アクティブ クラスタリングを使用するには、MySonicWALL でクラスタ内のすべての SonicWALL 装置を登録する必要があります。各 HA ペア内の 2 台の装置は、MySonicWALL で HA プライマリおよび HA セカンダリとして関連付けられている必要もあります。つまり、クラスタ ノード 1 の HA ペアの 2 台の装置を関連付けたら、次はクラスタ ノード 2 の HA ペアの装置を関連付け、さらに、残りすべてのクラスタ ノードについても同様の関連付けを行います。
Table 154 に、アクティブ/アクティブ クラスタリングおよび他の高可用性機能に必要なライセンスを示します。