ワイヤ モードとタップ モードの設定

SonicOS は、ネットワークに分断を伴わずに追加挿入する新しい方式を提供するワイヤ モードとタップ モードをサポートしています。

 

表 24. ワイヤ モードとタップ モードの設定

ワイヤ モード設定

説明

バイパス モード

バイパス モードにより、SonicWALL ハードウェアのネットワークへの素早く比較的中断の無い導入が可能になります。ネットワークへ挿入するポイント (例: コア スイッチと境界ファイアウォールの間、VM サーバ ファームの前、データ分類ドメイン間の移行ポイント) を選択すると、SonicWALL は物理データ パスに挿入され、非常に短い整備期間しか必要ありません。SonicWALL 上のスイッチ ポートの 1 つ以上のペアが、すべてのパケットをセグメントを越えて完全なライン速度で転送するために使われます。すべてのパケットは、マルチコア検査および強制パスに搬送されるのではなく、SonicWALL の 240Gbps スイッチ ファブリック上に残ります。バイパス モードは検査やファイアウォール機能を提供しないので、このモードによって最小のダウンタイムと危険をもって SonicWALL をネットワークに物理的に導入して、ネットワークおよびセキュリティ インフラの新しく挿入された構成要素である水準の安心感を得ることができます。その後、再設定を行うための簡素なユーザ インターフェースを通してバイパス モードから検査または保護モードに即座に移行できます。

検査モード

検査モードは、低リスク、遅延の無いパケットパスなどの機能を変えることなくバイパスモードを拡張します。パケットは SonicWALL のスイッチ ファブリックの通過を続けますが、それらはまた、パッシブ検査、分類、フロー報告の目的のために、マルチコア RF-DPI エンジンにミラーされます。これは、実際の中間処理無しでの SonicWALL のアプリケーション情報および脅威検出機能を示します。

保護モード

保護モードは、検査モードの進化形で、SonicWALL のマルチコア プロセッサをパケット処理パスに活発に挿入します。これは、アプリケーション情報と制御、侵入防御サービス、ゲートウェイおよびクラウド ベースのアンチウイルス、アンチスパイウェア、そしてコンテンツ フィルタを含む、検査とポリシー エンジンの完全な機能セットを開放します。保護モードは、通常の NAT や L2 ブリッジ モードの配備と同じレベルの可視性と強制を、L3/L4 変換なしで、そして ARP やルーティング動作の変更なしで提供します。こうして保護モードは、既存のネットワーク設計への最低限の物理的変更だけで論理的変更を必要としない、少しずつ到達可能な NGFW 配備を提供します。

タップ モード

タップ モードは検査モードと同じ視野を提供しますが、SonicWALL 上の単一スイッチ ポートを介してミラーされたパケット ストリームを吸収して、物理的な中間挿入の必要性を除去する点が異なります。タップ モードは、検査や収集用に外部機器にパケットを届けるためにネットワーク タップ、スマート タップ、ポート ミラー、または、SPAN ポートを利用する環境で使用するように設計されています。ワイヤ モードの他のすべての形態と同様に、タップ モードは複数同時ポート インスタンスで動作可能で、複数タップからの不連続ストリームをサポートします。

Table 25 は、インターフェース設定モード間の主な機能の違いです。

 

表 25. ワイヤ モード:機能の違い

 

バイパス モード

検査モード

保護モード

タップ
モード

L2 ブリッジ、トランスペアレント、NAT、ルート モード

アクティブ/アクティブ クラスタリング 1

いいえ

いいえ

いいえ

いいえ

はい

アプリケーション制御

いいえ

いいえ

はい

いいえ

はい

アプリケーション可視化

いいえ

はい

はい

はい

はい

ARP/ルーティング/NAT 1

いいえ

いいえ

いいえ

いいえ

はい

統合アンチスパム サービス 1

いいえ

いいえ

いいえ

いいえ

はい

コンテンツ フィルタ

いいえ

いいえ

はい

いいえ

はい

DHCP サーバ 1

いいえ

いいえ

いいえ

いいえ

はい 2

DPI 検出

いいえ

はい

はい

はい

はい

DPI 防御

いいえ

いいえ

はい

いいえ

はい

DPI-SSL1

いいえ

いいえ

はい

いいえ

はい

高可用性

はい

はい

はい

はい

はい

リンク状況伝達 3

はい

はい

はい

いいえ

いいえ

ステートフル パケット検査

いいえ

はい

はい

はい

はい

TCP ハンドシェーク強制 4

いいえ

いいえ

いいえ

いいえ

はい

仮想グループ 1

いいえ

いいえ

いいえ

いいえ

はい


1
これらの機能とサービスは、ワイヤ モードで設定されたインターフェースでは利用できませんが、システム全体レベルでは、他の互換性のある動作モードで設定されたどのインターフェースでも利用可能です。

2
L2 ブリッジ モードでは利用不可です。

3
リンク状況伝達は、ワイヤ モード ペアのインターフェースがリンク状況のミラーをパートナーの遷移によって開始する機能です。これは、冗長化パスのあるネットワークで正しい動作をするために不可欠です。

4
ワイヤ モードでは、複数のワイヤ モードのパスまたは複数の SonicWALL が冗長または非対称パスと共に使用されている場合に、ネットワーク上のどこかで発生するフェイルオーバー イベントがサポートされることを許可するために、設計上無効になっています。

ワイヤ モードでのインターフェースの設定

インターフェースをワイヤモードに設定するには、以下の手順に従います。
1
ネットワーク > インターフェース」ページで、ワイヤ モードに設定したいインターフェースの設定アイコンを選択します。
2
ゾーン」ドロップダウン メニューで、WLAN 以外の任意のゾーン種別を選択します。
3
インターフェースをタップ モードで設定するには、「モード/IP 割り当て」ドロップダウン メニューで「タップ モード (1 ポート タップ)」を選択します。
インターフェースをワイヤ モードで設定するには、「モード/IP 割り当て」ドロップダウン メニューで「ワイヤ モード (2 ポート ワイヤ)」を選択します。
4
ワイヤ モード種別」ドロップダウン メニューで、適切なモードを選択します。
5
ペア インターフェース」ドロップダウン メニューで、上流のファイアウォールに接続するインターフェースを選択します。このペア インターフェースは同じ種別 (2 つの 1 GB インターフェースまたは 2 つの 10 GB インターフェース) である必要があります。
6
OK」を選択します。

ワイヤ モードは、WAN、LAN、DMZ、および個別ゾーン (無線ゾーンを除く) に対して設定可能です。ワイヤ モードはレイヤ 2 ブリッジ モードを簡潔にしたもので、インターフェースのペアとして設定されます。ワイヤ モードでは、送信先ゾーンは「ペア インターフェース ゾーン」です。送信元の「ゾーン」とその「ペア インターフェース ゾーン」間のトラフィックの方向に基づいて、アクセス ルールがワイヤ モード ペアに適用されます。例えば、送信元の「ゾーン」が「WAN」で、「ペア インターフェース ゾーン」が「LAN」の場合、トラフィックの方向に応じて WAN から LAN へのルールと LAN から WAN へのルールが適用されます。

ワイヤ モードでは、管理者はインターフェースのリンク状況をペア インターフェースに伝播するリンク状況伝達を有効にすることができます。あるインターフェースが停止した場合は、そのインターフェースのリンク状況をミラーするため、ペア インターフェースが強制的に停止されます。ワイヤ モード ペアのインターフェースは、どちらも常に同じリンク状況になります。

ワイヤ モードでは、管理者はステートフル検査無効にできます。「ステートフル検査を無効にする」を選択すると、ステートフル パケット検査がオフになります。「ステートフル検査を無効にする」が選択されていない場合は、3 ウェイ TCP ハンドシェイクを強制することなく、新しい接続を確立できます。非対称ルートを配備する場合は、「ステートフル検査を無効にする」を選択する必要があります。

WAN/LAN ゾーン ペアに対するワイヤ モードの設定

以下の設定は、ワイヤ モードの設定例です。この例は、LAN ゾーンとペアリングされた WAN ゾーン向けです。ワイヤ モードは、DMZ ゾーンおよび個別ゾーンに対しても設定できます。

WAN/LAN ゾーン ペアに対してワイヤ モードを設定するには:
1
ネットワーク > インターフェース」に移動します。
2
インターフェースの追加」ボタン

インターフェースの追加/編集」ダイアログが表示されます。

3
一般」タブの下の「ネットワーク モード」リストで、「ワイヤ モード (2 ポート ワイヤ)」を選択します。

4
ゾーン」リストで、「WAN」を選択します。
5
ペア インターフェース ゾーン」リストで、「LAN」を選択します。
6
ステートフル検査を無効にする」オプションを選択します。
7
リンク状況伝播を有効にする」オプションを選択します。
8
OK」ボタンを選択します。